今回はONKYO製 AV CENTER(AVアンプ)TX-NA609で音が出なくなる不具合に関する記録です。
この不具合は、過去にメーカーが無償修理対応※していた事象です。
※2018年12月31日で無償修理期間は終了しています。
突然、音が出なくなった・・・
先日、CDを聴くためにTX-NA609の電源を入れ、CDプレイヤーを再生したところ、なぜか音が出ない・・・
数日前は、普通に鳴っていたのに・・・
試しに他のソースに切り替えてみたが、やはり音が出ない・・・
まさか故障?!
TX-NA609は、2012年に購入したAVアンプです。
既に約10年経過する古いアンプですが、私がメインで使用しているオーディオアンプは1994年頃に購入したYAMAHA製のもので、それに比べるとまだまだ若いアンプです。
まぁ、おもちゃのようなAVアンプですが、それでも廃棄するのはもったいない。
何とか復活できないか?調べてみることにした。
リコール対象機だった(泣)
調査を始めてすぐにわかったことは、オンキョーは2014年にネットワーク対応機種を対象に無償修理を実施していたらしい・・・
2009年7月~2013年3月に製造品が対象なので、私のTX-NA609は、おそらく「当たり」だろう。
リンク → オンキヨー株式会社:無償修理期間延長のお知らせ(リンク切れ)
不具合症状としては、①音声が正しく出力されない、②ネットワーク接続のメニュー画面がグレーアウトしてネットワークに接続できない、③USBメモリーから楽曲が再生できない、とのことだ。
試しにセレクターを『NET』、『USB』に切り替えてみると、どちらも「Now Initializ」の表示で固まってしまい、それ以上進まない。
また、HDMI接続しているモニターで『SETUP』画面を確認すると、以下の症状が発生していた。
- Menu画面の『8.リモコン設定』がグレーアウトしている
- 『7.ハードウェア設定』画面の『4.ネットーワーク』と『5.ファームウェアアップデート』がグレーアウトしている
これらの状況を総合すると、音が出ない不具合は、やはりリコール対象の症状と判断して間違いなさそうである。
しかし、残念なことに、無償修理期間は2018年12月31 日で終了している。
さて、どうしよう・・・
修理できるか?調査開始!
「修理」といっても、どの部品に不具合があるのか? わからないことには始まらないのだが、オンキョーのリリースからは、それが読み取れない。
そこで、TX-NA609の「Service Manual」を入手すべくネット検索してみたが、形式違いのオンキョー製AVアンプのサービスマニュアル(英語版)しかヒットしない。
仕方ないので、それらをダウンロードして見てみると、ある機種には「DEBUG MODE」という診断モードがあるらしい。
ダメもとで、それをTX-NA609で試してみると・・・、出ました!
そして、「音が出ないトラブル時の情報表示」のような項目があったので、先ずはそれで確認してみました。
『DISPLAY』ボタンを押しながら、『ON/STANBY』ボタン(電源スイッチ)を押します。
すると、「Main:1.14/12607AE」と表示されました。
これは、Mainプロセッサーのバージョン番号らしいです。
次に「Main~」の表示が出てから3秒以内に『+』ボタンを押すと、「DSP 1st/NET:?????????????」と出ました。
本来であれば、バージョン番号が表示されるはずだが、「?」が並んでいる。
つまり、DSP用のプロセッサーが動作していないということだろう。
続けて『+』ボタンを押していくと、「Video:1.08/12312AEK」、「VSP(kyotoG2H):1.06/12312AJ0」と、それぞれのバージョン番号が表示されたので、これらは動作しているものと思われる。
問題のプロセッサーはどこ?
とりあえず、DSP用プロセッサーが動作していないことが判ったので、カバーを開けて部品の捜索です。
他機種のサービスマニュアルを参考に回路を辿っていくと・・・、ありました!
Dolbyとdtsのマークが印刷されたBGAタイプのチップで、D830K013BZKB400Z(Q3001)です。
この部品、今でも2,000円程度で新品を入手できるようだが、素人の私に交換は絶対ムリである。
さてさて、どうしましょう・・・
ドライヤーで復活?
修理をどうするか?いろいろ思案している時、海外の動画で、とても興味深いものが目に付いた。
音が出なくなったオンキョー製AVアンプ内部をドライヤーで温めると一時的に音が復活するというものだ。
天板(カバー)を付けた状態で内部に向けて1分ぐらいドライヤーを当てると音が出て、「やった~(と言っているかどうかはわからないが)」と喜んでいる。
最初は、「そんな馬鹿な!」と思ったが、わらにもすがる思いで実際にやってみた。
天板を外し、DSPプロセッサーに向けて30~60秒程度ドライヤーを当てると・・・、なんと本当に音が出た!
「DEBUG MODE」で確認すると、「DSP 1st/NET:1.16/12613BEA」と表示され、『SETUP』画面のグレーアウトも解消している。
左側□のスピーカーアイコン?も点灯していなかったが、復活した!
ただ、プロセッサーがドライヤーの熱から冷めた頃に一度電源を切ってから入れなおすと、また音が出なくなるので、やはり一時的な対応である。
何度か試してみたところ、チップの表面温度が70℃以上になった状態で電源を投入すると、復活するようだ。
この結果から、DSPプロセッサーが動作しない原因は、BGAのボール半田割れの可能性が高いと判断した(あくまで素人判断です)。
リフローで修理できるか?
BGAの半田割れは、グラフィックプロセッサー(GPU)でよく?発生する症状で、「リフロー」という方法で復活させることができるが、GPUのように高温になるチップは、リフローしても再発することがほとんどのようである。
しかし、DSPプロセッサーはGPUほど高温になるとは思えず(多分です)、リフロー後に熱対策を施してやれば、そこそこ持つのではないか?と考え、再度、この不具合について調査を始めた。
すると、またしても海外の動画サイトで、音が出なくなったONKYOのAVアンプをヒートガンやオーブンによるリフローで修理している動画がたくさん見つかった。
同じTX-NA609のものはなかったが、リフローしているチップのほとんどは、DSPプロセッサー( D830K013BZKB400Z )だ!
サービスマニュアルを眺めている時にも感じていたが、オンキョーAVアンプの主要なデジタル回路部品は、多くの機種で同じものを使用しているようで、結果、この不具合は世界各国に広がっていたのだろう。
ということで、私もリフローによる修理にチャレンジすることを決断!
ヒートガンや赤外線温度計などの道具の準備とリフロー時の温度と時間の設定についても、もう少しよく調べてから実行です!
ちなみに、このために数値で温度設定できるヒートガンを購入しました。
温度の正確性は期待していませんが、目安にはなるでしょう。
以上、修理方針が決まったところで、今回はここまで。
修理の顛末は、次回の記録で!
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TX-NA609リフローで修理成功 音が出た!オンキョーAVアンプ
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