今回は中国の某大手ECサイトで購入した とっても怪しいSSDについて記録します。
このSSDは普段から超激安で販売されており、2TBが6,000円前後、1TBが4,000円前後と信じられない価格なので、「これは絶対怪しい!」と以前から目を付けていました。
そして先日、某ECサイトの大型セールで2TBが約3,900円で販売されていたので、ついつい(興味本位で)購入してしまいました!
結果は予想通りで、システムからは2TBの容量に見えますが、実際には128GB分のNANDしか実装されていない容量偽装品でした!!
メーカー不明 SSD 2TB 開封!
いつも通り、まずはパッケージの外観からです。
中国からの発送品ですが、珍しく箱は潰れたりせず、ほぼ無傷で届きました。
何の変哲もないデザインですが、メーカー名がどこにも記載されておらず、封印シールもありません・・・
無責任な製品です。
さらに、2TBの識別シール右側にある「3YEARS WARRANTY」っぽいマークをよーく見ると「WARRANTY」とは印刷されていません・・・
『3YEARS ANS』でしょうか?
『ANS』の意味はわかりませんが、3年保証ではないということで間違いないでしょう。
すでに怪しさ満載です!
中身を取り出しました。
紙類や付属品はなく、SSD本体のみです。
表のラベルデザインは「なんちゃってWD RED」です。
ちなみに、このSSDのラインナップにはREDの他、BLUEとGREENのデザインもあります。
ただし、3種類とも価格は同じなので、内部は同じと思われます(たぶん)。
SSD本体の外観です。
筐体はプラスチック製で、フツーのSSDと何ら変わりありません。
しかしラベルを見ると・・・ここにもメーカー名らしき記載が見当たりません。
ラベル左下のQRコードを読み取れば何かわかるかな?と試してみましたが、まったく読み取れません。
でたらめのQRコードなのかもしれません。
形式は「SDS52000T3G0A-00NA50」で、生産国は「Made in China」とのことです。
では、恒例の分解です!
一般的なプラスチック製筐体と同じ構造で簡単に蓋を開けることができました。
コントローラーチップの表面に何かが貼られており、印刷が見えません。
基板を取り外して両面の確認です。
NANDが計2個しかありません・・・これで2TB?
怪しい・・・
コントローラーを拡大すると、元の印刷が少しだけ はみ出ています。
で、この表面に貼られたものを剥がそうとしましたが、剥がれません。
マイクロスコープで確認してみると、これは何かが貼られているのではなく、表面が削られているように見えます(レーザーで塗り潰し?)。
そして、うっすらと文字らしきものが見えました。
撮影した写真を適当に画像処理すると・・・「RAYMX」のようです!
以前、記録した「RAYMX」搭載の「Dahua C800A」の画像と並べると、ビンゴ!です。
下部の「REALTEK」の文字も何となく読めます。
さらに基板上に配置されたコンデンサー等の素子の配置や印刷された記号も同じです。
リンク:Dahua C800Aを分解したら…RAYMX?REALTEK?
両方の基板の画像を並べてみると・・・
インダクタやMOSFET?等、「Dahua C800A」にあって「SSD 2TB」にない素子が一部ありますが、ほとんど同じデザインです。
これが「RAYMX」のリファレンスなのでしょう。
それにしても、NANDが2個しかないし、コントローラー表面の印刷も隠しているし・・・
動作確認が楽しみになってきました(笑)
動作確認は問題なし? いや、やっぱりおかしい・・・
テストマシンは、勿論いつものThinkPad X240(i3)ですが、取り付け前にT460sにUSB接続してCrystalDiskInfoを実行してみました。
モデル名は「SSD 2TB」と認識されました。
これで見る限りは、間違いなく新品のようで、特に違和感はありません。
シリアルナンバー(「*」で隠しています)は、ラベルに印刷されたナンバーとはまったく違いましたが、これはよくある話です。
T460sから取り外して、X240に取り付けました。
BIOSでの認識状態です。
事前にCrystalDiskInfoで確認したとおり「SSD 2TB」と認識されました。
Windows10 Pro(21H2)セットアップ時の画面です。
ここでも約2TBと認識されています。
無事にWin10のセットアップが完了したので、ディスクの管理で確認です。
やはり違和感はありません。
つづいて、CrystalDiskInfoです。
こちらも特におかしな点は見受けられません。
意外にも?ここまで何の問題もなく進んだので、引き続き、CrystalDiskMarkを実行しました。
パッケージには、最大読込:545MB/sと記載されていましたが、結果は・・・
READがとても遅いですね。
しかも、WRITEの数値よりもかなり下回っています。
いつもは一発勝負の計測なのですが、この転送速度に納得ができなかったので、念のため、もう一度実行して計測してみました。
が・・・やはりREADが遅いのは変わらず・・・
ムキになって、さらにもう一度(3回目)実行すると、READの計測が終わり、WRITEの計測に入った途端、画面がフリーズ状態のようになり、計測が進まなくなりました。
そして、数秒後・・・ブルースクリーンになりました!
『デバイスに問題が発生したため、再起動する必要があります。』
なんだか、怪しくなってきました。
再起動後、NANDを確認するため「rtl_flash_id」を実行してみました。
「Dahua C800A」の時と同様、『RAYMX』の表示は見当たりませんが、「FwStr」の『REALTEK RL6643』の表示が「Dahua C800A」と同じです。
よって、表面の印刷が隠されたコントローラーの正体は「RAYMX RM1135」で間違いないでしょう。
そして、気になるNANDは・・・
『Micron 176L(B47R)TLC ~』と出ていますが、あれっ、容量の計算が合わない・・・
512Gb X 2 = 128GBytes では???
ようやく正体が見えてきました!!
2TB or 128GB? 容量の検証
という訳で、このSSDの実際の容量を検証すべく、まずは128GB以上のデータを書き込んだらどうなるか?確認です。
手順は単純に、①X240にUSB接続で別のSSDを接続し、②USB接続したSSD内に保存された容量約145GBのフォルダをX240(SSD 2TB)に丸ごとコピーするだけです。
コピー中の画像です。
コピー開始から10GBぐらいまでは300~400MB/sの速度が出ていましたが、その後速度が低下し、10MB/s前後まで落ち込みました。激遅です!
そしてこの後、チョット目を離していると、X240が勝手に再起動していました・・・
が・・・起動できず、またブルースクリーンです。
やっぱりね~
この後、何度か再起動を試みましたが、一向に起動しないので、X240から「SSD 2TB」を取り外して再度T460sにUSB接続しました。
T460sから「SSD 2TB」のプロパティを見ると・・・使用領域が約128GBになっています。
つまり、128GBまでは書き込めたが、それ以上は・・・と言うことでしょう。
最後に容量偽装を確認するためのソフトとして有名?な「H2testw」を使って確認してみました。
事前にSecure EraceしてSSD内をクリーンにしてから実行したところ、約94GBを書込んだところでエラーが出て止まってしまいました。
エラーメッセージは、『存在しないデバイスを指定しました』となっています。
エクスプローラーで確認すると、USB接続でDドライブとして存在していたはずの「SSD 2TB」がなくなっていました。
逃げられた!
念のため、USBを接続し直し、もう一度「H2testw」を実行してみましたが、結果は同じ・・・完了できません。
おそらく、128GBを越えるアドレスにアクセスすると強制的に切断(電源OFF?)されてしまうのだと思いますが、これが「SSD 2TB」の仕様なのかもしれません。
つまり、偽装を見破られそうになったら、自分の姿を消して逃げる仕様です(笑)
いずれにせよ、システムからは2TBあるように見えている(見せている)が、実際には128GB分のNANDしか実装されていないSSDであると結論付けて間違いないでしょう(たぶん)。
いわゆる「容量偽装SSD」でした!
まとめ
2TBで約3,900円のSSDを本当に2TBあると信じて購入する人がいるかどうか?はわかりませんが、そんな私も購入前は容量偽装の確信は持てておらず、0.1%ぐらいは「もしかしたら本当に2TBあるかも・・・」と思っていましたので、その確認のための勉強代と割り切って購入してみました。
結果は上記のとおり、なかなか良くできたSSDでした(笑)
それにしても、2TBに対して実装128GBとは驚きです。
確信犯であることは間違いありませんが、せめて1TBぐらいあれば見破られにくいと思うのですが・・・見破られることを恐れていないとしか考えられません。
もう開き直ってますね!
ちなみに、この「なんちゃってWD」デザインのSSDは日本国内のネットショップでも見かけたことがあります。
さすがに3,900円とかではなかったですが、一般的なSSDと比較して、そこそこ安かったと記憶しています。
「それ」と「これ」が同じかどうか?はわかりませんが、とにかく、このデザインには要注意です!
長文になりましたが、今回は以上です。
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KLEVV N400 120GB SSDを分解してNANDを確認
コメント
こんにちは。これは酷いですね。返品交渉しても2TBは商品名だと逃げるんでしょうねえ・・
私も無印microSDで偽装品をつかまされた事が有ります。H2testwを使ったら二度と復活しませんでした。このSSDは復活するだけ良心的な訳はないですよね。コントローラ隠しはflash_id対策なのでしょうか?
あきちゃんさん
USBメモリでは製品名が「xxTB」といった紛らわしいものを、よく見かけますね。
想像ですが、コントローラー隠しはコントローラーメーカーからクレームが来るからかも?
それにしても、この「SSD 2TB」は、なかなか楽しいSSDでしたよ!