Windows11をX240、X270、T440pにインストールしてみたが、その際に気になったこととして、T440pにはBIOS上でTPM1.2→2.0に設定変更する項目が見当たらなかったことである。
結果的には、TPM1.2のままでもWindows11はインストールできたので、今のところ何の問題もないのだが、やはり、そのことが気になり、その後いろいろと調べてみました。
リンク : ThinkPad T440p Windows11インストール記録
今回は、その調査結果を備忘録として記録します。
BIOSでのTPM設定
X240、X270には、BIOSのSecurity設定にSecurity Chipの有効/無効に加えて、Scurity Chip SelectionでTPM1.2 or 2.0を選択することができた(X240はDiscrete TPM or Intel PTTで選択)。
また、T440(無印)についてもX240と同様に Discrete TPM or Intel PTTでTPMを選択できた。
しかし、T440pには、Security Chip Selectionの項目自体がなく、Security Chipの有効/無効しかない。
そして、これを有効(Active)にしてWindows上からTPMバージョンを確認するとTPM1.2となっている。
X240もT440も同じ第4世代(Haswell世代)のマシンなのに、なぜT440pだけTPM2.0に設定できないのだろうか?
納得できない・・・
TPMチップのメーカー仕様
T440pのTPMチップは、STMicroelectronics社製のST33TPM12LPC(Rev.13.12)が使用されているらしく、このチップの仕様書がネット上で見つかったので確認してみた。
STマイクロエレクトロニクス社リンク : ST33TPM12LPC(リンク切れ)
ここには、TPM1.2に準拠と記載されており、TPM2.0に対応しているというような文言は見当たらない。
しかし、正式には記載されてなくても、実は「対応している」可能性もあるかもしれないと、あきらめの悪い私はさらに調査を続行。
というのも、T440pのBIOSアップデート履歴を見ると、以下のような記載があり、Intel PTT(=TPM2.0)に対応しているように思えたからだ。
<2.37>
引用元: https://download.lenovo.com/pccbbs/mobiles/gluj44jp.txt
UEFI: 2.37 / ECP: 1.12
-(新) CPUマイクロコードの更新。
-(新) UEFI診断プログラムのバージョンを2.09.06に更新。
-(新) ボトムカバーを開けた後、システムがAC無しでもパワーオンすることができるように変更。
-(修) Intel PTT使用時、Windows 10 のシステムが休止状態から起動ができなくなる。
-(修) Windows 8のシステムで、BitLockerを有効にしている時、Intel Rapid Start Technologyが休止状態から正常に復帰できない。
キャプチャー/プレイバック ユーティリティ
引き続き、海外のサイトでTPMについて調べていると、「ThinkPadセットアップ設定キャプチャ/再生ユーティリティ(SRSETUP)」というLenovo純正のソフトでTPM1.2→2.0を切り替えることができるとの記載を見つけたので、早速やってみた。
元ネタのリンク:
Upgrading TPM Spec 1.2 to 2.0 on ThinkPad using ConfigMgr Current Branch(リンク切れ)
Lenovoダウンロードサイト:
ThinkPad Setup Settings キャプチャー/プレイバック ユーティリティ(SRSETUP)
これらから、私が解読した変更方法は、以下の通りだ。
①BIOSでSupervisor Passwordを設定する(SRSETUPコマンド実行時に使用)
②WinPEのブータブルUSBを作成し、そこにダウンロードしたSRSETUPも保存
③WinPEを起動
④以下のコマンドを実行し、TPM1.2→2.0に変更する
『srsetupwin64.exe /z /fTPM /q /APAP supervisorpassword』
そして、実行してみると、
Error in Switch TPM Parameter 80000000
エラーだ・・・
引数を変えて、『srsetupwin64.exe /z /fTPM /APAP supervisorpassword』でやってみると、
Set TPM 2.0 …OK?(Y/N)
と出たので『Y』を入力すると
Error in Switch TPM Parameter: 80000000
Rc=80000000h
ERR – Function not supported.
Error – RC=113
やっぱりエラーが出る・・・サポートされていない? なぜ??
で、さらにいろいろ調べてみると、海外のLenovoのフォーラムでSRSETUPの「/fTPM」スイッチは、Broadwell世代以降がサポート対象で、T440pなどのHaswell世代はサポート外であることがわかった。
残念・・・
Lenovoフォーラム:
Error when switching to Intel PTT-English Community | forums.lenovo.com
やっぱりT440pは TPM2.0 NGっぽい!
そして、今度は決定的(かもしれない)な書き込みを見つけた!
こちらも海外のサイトだが、「reddit」というアメリカの掲示板型ニュースサイトだ。
そこには、IntelがIntel PTTをチップセットに導入した際の経緯が書かれており、要約すると、Intel PTTは、Haswell世代から導入されたが、当時導入したCPUは低電圧タイプの「U」シリーズのみで、T440pに搭載されている「MQ」や「M」などのシリーズには導入されなかった。
らしい・・・
When Intel released the Haswell series of processors, they introduced Platform Trust Technology (PTT) which is a way of cryptographically signing devices implemented on the chipset associated with the cpu. At the time, it was different from the TPM 1.2 standard which required a dedicated chip. When the new TPM 2.0 standard was released, they included support for firmware TPM like Intel PTT and Intel’s technology was merged into the TPM standard. Therefore, all processors with PTT will meet the TPM requirement for Windows 11.
Unfortunately, Intel only introduced PTT on Haswell U-series processors, and not the higher-powered mobile chips (M, MQ, H series, and desktop processors). The next generation (5th gen, broadwell) only has U-series cpus, so it’s all supported too. Finally, with the 6th generation Intel made PTT standard on the higher-voltage chips.
引用元:https://www.reddit.com/r/thinkpad/comments/o8aquz/updated_list_of_thinkpads_supporting_windows_11/
この情報の信憑性は???だが、確かにX240、T440のCPUは、ともに「U」タイプだ。
現実と照らし合わせて考えると、妙に納得してしまった。
ということで、T440pのTPMを2.0に設定変更できるか?に対する結論は、
「できない!」
だろう。
T440pは、私のお気に入りThinkPadのひとつなので、とても残念です・・・
朗報が得られず、中途半端な記録になってしまいましたが、今回はこれにて調査終了します。
以上、備忘録でした。
↓ T440pのSSD換装記録 ↓
ThinkPad T440p Samsung 870EVO換装記録
↓ T440pのWireless LANをアップグレード! ↓
T440p 無線LAN デュアルバンド対応カードに交換した記録
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